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2025年5月30日(金)〜6月1日(日)、静岡・富士スピードウェイにて「ENEOSスーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE」第3戦『NAPAC富士24時間レース』が開催された。
ST-4クラスに参戦する18号車「WedsSport GR86」を走らせる浅野レーシングサービスに密着し、その戦いの裏側を3回にわたってレポートする。
第1回となる本記事では、5月30日(金)に行われた予選の様子を中心にお届けする。
予選の先陣を切ったのは、チーム代表でありレース歴50年を誇るベテランドライバー・浅野武夫。今回は車両の最終整備を自ら行い、まさに“初乗り”の状態でコースに向かった。
「予選としてはまったく問題なく走れた。ライン上は完全にドライで、路面のグリップにも不安はなかった」と語る浅野のコメントからは、長年の経験に裏打ちされた確かな感覚がにじんでいた。走行中も一切のミスなく安定したラップを刻み、ベテランらしい落ち着きと信頼感をチームに与えた。
タイム自体は突出した記録というわけではなかったが、マシンとの相性確認やコンディションチェックといった目的をしっかり果たす内容であった。
浅野が見せた精密な走りが、チームの心理的な安定にも大きく寄与していたことは間違いない。
2番手としてアタックを行ったのは、伊藤慎之典選手。昨年から本格参戦している中堅ドライバーであり、マシンとコースに対する理解も深まってきている。
今回の予選では、「制約のある中での予選アタックだったが、現状でのベストは出せたと思う」と冷静に振り返った。
コンディション的にはやや混雑していた場面もあり、特にアタック終盤に遅い車両に引っかかってしまったことで、理想のラップタイムには届かなかった。
それでも「24時間という長いレースを見据えれば、とりあえずOK。決勝で取り返せる自信はある」と語る姿には、確かな成長が感じられた。
ST-4クラス予選正式結果は、A+B 4位/9台中(予選はA・Bドライバー合算タイムで決定)。
一方、3番手で走行した三上和美選手は、初の富士24時間出場ということもあり、プレッシャーの大きさを感じていたようだ。
「マシンの調子は良かったが、自分のミスが多くて悔しい。決勝ではとにかく丁寧に、ミスのない走りでアベレージを上げていきたい」と、悔しさをバネに次の目標を見据える姿勢を見せた。
さらに「ペナルティも接触もなしで完走し、チームに貢献したい。目指すはもちろん優勝です」と力強く語った表情からは、若手らしい伸びしろと熱意が感じられた。
今回の予選を通じて、ドライバー陣が一様に口にしていたのが「車両のバランスの良さ」である。公式テスト以降、エンジニア陣が細かくセッティングを調整してきた成果が現れており、ドライバーのフィードバックも総じて好感触だった。
「新しい領域にトライしてみたが、やはり最も安定するのは今までのセッティングだった。細かいオーバーホールも行った上で調整を加えたら、予想以上にバランスが良くなった。これなら24時間しっかり戦えると思う」と藤原大暉選手が語る声には、現場で積み重ねた信頼と手応えが感じられた。
また、芝叔和選手は「40リットルの燃料を積んで出走したが、それでもバランスが崩れなかった。タイム的にはもっと狙えたが、マシンは非常に扱いやすい状態だった」と満足げに話した。
予選という限られた時間の中で、チーム全体の連携と準備が実を結びつつあることを証明する内容だったといえる。
とはいえ、全員が万全の状態とは限らない。
近藤尚史選手は「車は完璧。でも自分自身のコンディションが今ひとつ」と、体調やリズムに課題を感じていると話した。
「曇りでもいいからドライで走りたい。まずは安全にバトンタッチして、走り終わったあとに何かを得られるような走りがしたい」と語るその言葉からは、完走という目標に向けた真摯な姿勢が垣間見えた。
今回の予選の模様は、YouTubeチャンネル「&Race モータースポーツ情報」にて、【浅野レーシングサービス密着取材 予選日 #1】として配信されている。
ピリついた空気感、無線越しのやり取り、そしてドライバーの表情──映像だからこそ伝わる“現場の温度”を、ぜひ動画でも感じ取ってほしい。
次回は、いよいよ決勝編の前半戦をお届けする。スタート直後の混戦、夜間走行の緊張、そして長時間レースならではの戦略が交錯する様子を、現地の視点から伝えていく。
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