【ホイールメーカーが教える】初めての 『失敗しない ホイールの選び方』Vol.3 [ホイール選び実践編]

全4回でお届けしている、初心者のための「失敗しないホイールの選び方」。

毎回、TGR TEAM WedsSport BANDOH 坂東正敬 監督とレースアナウンサー勝又智也 氏、そして“天の声”ことwedsの商品本部・中村氏が、難解な内容も分かりやすく+楽しく+おかしく解説している。

スタジオを飛び出して、実際のホイールを見比べながら基本構造や種類、そしてサイズや規格の確認ポイントまでを取り上げていく

第1回の「座学編」はホイールのサイズ選びや製造方法を、第2回の「規格・保証編」はホイールの安全性を裏付ける規格と保証について解説。

第3回となる今回は、スタジオを飛び出して、実際のホイールを見比べながら基本構造や種類、そしてサイズや規格の確認ポイントまでを取り上げていく。

ホイールの構造の違いに始まり、P.C.D.やキャリパー対応といったちょっと専門的に思える部分を押さえることで、自分の車に本当に合う一本を選ぶことができるのだ。

目次

ホイールの基本的な構造の違いについて

番組の冒頭で早速、2人はスタジオからジャンプをして一瞬で実際のホイールが並べられた場所へ移動(これぞ、古典的なシーンつなぎ)!……

その直後、坂東監督は膝を痛めたようなジェスチャーで笑いを取っていた。

さて、ホイールには大きく分けてワンピース、ツーピース、スリーピースという構造の違いがある。

ワンピースはアルミを一体で成型する方式で、強度や精度に優れる一方、サイズやデザインの自由度は限られる。大量生産が可能で価格も比較的抑えられているため、純正や一般的なアフターパーツとして広く流通している。

ツーピースはリムとディスクの二部品で構成される。溶接やボルトで固定するため、オフセットの調整幅が広く、車種専用に近いフィッティングを実現できる。デザインの自由度も高く、ドレスアップユーザーに人気である。

こちらの「LEONIS MX」は、ノアやヴォクシー、アルファードなど、多くの車種が履いている人気のホイール。

「MUDVANCE」は、独自設定のマットなカラーが特徴。

「TC105X」はスポーツタイプのホイール。「鍛造でカッコ良い!」と監督。

「MAVERICK」は2ピースのホイール。勝又氏が説明していると、その隣で坂東監督がカメラ目線で両手のピースを見せつけて……。

「いやいや、2つのピースじゃないですよ! リムとディスクの二部品で構成されてるって意味です」と勝又氏がマジレス(笑)。

専門用語が多い世界だからこそ、こうしたくだけた会話のやりとりが、理解の助けにつながっている。

さらに「Kranze Weaval」などのスリーピースのホイールは、リムが内外に分割されているので、ディスクと組み合わせることで無数のバリエーションを生み出せる。

製造工程が複雑で価格は高いが、唯一無二の存在感を放つ、高級志向のユーザーが憧れるホイールである。

サイズ選びはP.C.D.とキャリパーに注意

ホイール選びで最も多い失敗といえば、「サイズが合わない」ことだろう。中でもP.C.D.(ピッチ・サークル・ダイアメーター)は要注意だ。
このP.C.D.は取付するボルトやナットの数とその間隔を指し、たとえば「5穴・114.3mm」なら、「5本のボルトやナットで固定し、それらが直径114.3mmの円周上にある」という意味になる。

近年は、大型のブレーキキャリパーを標準装備する車種も増えている。そのためディスクの厚みや高さが「ハイディスク」「ロータイプ」などで分かれているので、適合しなければキャリパーに干渉してしまう。

表から見れば同じデザインでも、裏の寸法が異なれば装着できない。

「表面は同じように見えても、土台の高さがあるとビッグキャリパーの大きさを逃がせるんです」と勝又氏。

さらにインチ数にも注意が必要。「軽自動車に20インチホイールを履かせたい」といった声も耳にするが、これは現実的に不可能。

「昔は無理やり入れたりしてました、車をホイールに合わせるみたいな」(勝又氏)

「それは下品な改造ですから(笑)。今はあるものを履くスマートな時代です」(坂東監督)

笑い話のようだが、こうした無理な組み合わせは安全性を損ないかねない。サイズ選びは慎重さが求められるのである。

ナットとハブボルト――見落とせない最後の確認

意外と見落とされがちなのだが、ナットとハブボルトの規格も重要である。

純正ナットがそのまま使える場合もあるが、ハブボルトのピッチが1.25と1.5で異なるなど、合わないケースも少なくない。合わないまま装着すると、走行中の脱落など重大事故につながる恐れがあるので要注意だ。

また、ホイール幅やオフセットも確認必須。これらは単に「見た目のツラ」を決めるだけでなく、ハンドル切れ角やフェンダー干渉、安全性に直結する。見た目重視で選んだ結果、ハンドルが切れなくなったり車検に通らなかったりする例も後を絶たない。

専門店での確認が重要であるのはこのためである。単にデザインや価格で判断するのではなく、車種ごとの適合データや経験値を持つショップに相談することが、失敗を避ける最短ルートなのである。

知識がホイール選びを成功に導く

さらに今回は、wedsの高級な3ピースホイールを解体して見せてくれた。

「これは確かに、高級ですわ!」(坂東監督)

「ね、工程も大変だし。そしてこのピアスボルト、これはなかなか見られないです……って監督、なんで持ってるの!?」(勝又氏)

なぜか監督が、耳のあたりからボルトを取り出して……ピアスだけに?

「最近は、センターキャップも、右側と左側で2個ずつを別の色にしている人もいますよね」(勝又氏)

「ネットなどで知識を手に入れることはできますけど、安全のためにも専門店に行ってほしいですね」と監督。

ホイール選びは一見華やかな作業に思えるが、その裏には緻密な規格と設計が存在している。ワンピースかスリーピースか、鍛造か鋳造か、P.C.D.やキャリパーの適合はどうか――。こうした知識を踏まえて初めて、自分の車に最適な一本を見つけられるのである。

次回はシリーズ最終回!ようやくゲスト登場

そして次回、シリーズ最終回となる第4回「ホイール装着編」では、実際にホイールを実車に装着し、見た目や走行感の違いを検証する。

「ようやくスペシャルゲストも登場しますので、ぜひご覧ください」(勝又氏)

シリーズの締めくくりとして、よりリアルな選び方のヒントをお届けするので、お見逃しなく!

「初めてホイールを変えたい人」必見!

今回の記事の動画は、YouTubeチャンネル「wedschannelーウェッズチャンネルー」で公開中!

■失敗しない ホイールの選び方

▼Vol.1[座学編]

▼Vol.2 [規格・保証編]

▼Vol.3 [ホイール選び実践編]

▼Vol.4 [ホイール装着編]

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